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下請法とフリーランス新法の違いとは?発注者の義務や対応も解説

下請法とフリーランス新法の違いとは?発注者の義務や対応も解説

    公開日:2026年01月30日

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    更新日:2026年01月30日

      フリーランスと取引のある事業者が理解しておくべき法律として「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)」があります。フリーランス新法は2024年11月1日から施行されており、取引条件の明示や報酬の支払い、ハラスメント対策などを規定することで労働者の労働環境を守るものです。

      そして、フリーランス新法と混同しがちな法律として「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」があります。

      本記事では、フリーランス新法の概要と下請法との違いについて、わかりやすく解説します。発注側が知っておくべき義務や対応も載せておりますので、フリーランスとの取引を進めるのにお役立てください。

      なお、下請法も2026年1月1日に改正法が施行され、名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法、通称は取適法)」と変わります。[参考1]

      本記事では詳細を解説しませんが、追加事項などは以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。

      関連記事:2026年1月施行!下請法改正法のポイントをわかりやすく解説

      1.フリーランス新法とは

      フリーランス新法とは、多様化する働き方の中で増加している「フリーランス」を守るために設けられた新しい法律です。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、2024年11月1日に施行されました。

      すべての発注事業者や業務委託者を対象に、契約条件の書面提示、報酬の速やかな支払い、不当な条件変更の禁止、ハラスメント対策の整備などを義務化しています。曖昧な契約や支払い遅延といったトラブルを未然に防ぎ、フリーランスが安心して取引および業務を続けられる環境を整えることが狙いです。

      フリーランス新法については、以下の記事でも解説していますのであわせてご確認ください。

      関連記事:フリーランス法とは?対象や義務項目・違反時の罰則をわかりやすく解説

      2.フリーランス新法導入の背景

      フリーランス新法が導入された経緯としては、働き方の多様化に伴うトラブルの発生が大きく影響しています。

      リモートワークやワークライフバランスの拡充など、新しい働き方が増えてきたことで、フリーランスとして仕事を始める人も増えました。一方で「報酬が適切に支払われない」「支払いが遅延する」「不当に契約を打ち切られる」など発注側との取引トラブルも相次ぎ、問題となりました。

      そこで、立場が弱く不当な扱いを受けるフリーランスを守り、安心して仕事ができるように環境整備を行う目的でフリーランス新法が制定されたのです。

      3.下請法とフリーランス新法の違い

      フリーランスとの取引においては、フリーランス新法だけでなく「下請法」の理解も欠かせません。下請法は、発注側が下請側に対し、不当な支払い遅延、減額、返品などを行うことを禁止するものです。

      ここでは、両者の違いを「目的」「対象取引」「禁止事項」の観点から解説します。

      3-1.法律の目的の違い

      下請法は、弱い立場に置かれやすい下請事業者を守るための法律です。不当な取引条件や不利益な要求を防ぎ、公正な商取引を確保することに重点が置かれています。

      一方、フリーランス新法は取引の正当化のみならず、受注側が業務委託としての働き方を安定して続けられるよう、就業環境そのものの改善も行う目的で制定されたものです。契約条件の明示やハラスメント防止など、働く環境を整えることを目指し、より幅広い範囲までカバーしています。

      3-2.対象となる取引の違い

      フリーランス新法と下請法は、扱う委託の内容は似通っているものの、適用範囲には明確な差があります。

      下請法は「製造(加工含む)」「情報成果物の作成」「役務提供」「修理」の4区分を規制対象とし、発注側の資本金が1,000万円以下だと適用外となるのが特徴です。また、委託内容は原則顧客に向けたものに限定され、自社のために行う委託には適用されません。

      一方、フリーランス新法が対象とするのは「製造(加工含む)」「情報成果物の作成」「役務提供」の3区分で、修理業務は役務提供に含まれています。下請法では適用外とされる自社のための制作・修理・翻訳・広告物作成など自己利用目的の委託や、建設工事における委託も含むのが特徴です。

      さらに資本金による除外が一切なく、役員が2名以上いる法人もしくは従業員を使用する事業者、そしてフリーランスがフリーランスに発注する場合であっても、規模にかかわらず原則すべてが対象とされています。

      3-3.禁止事項の違い

      どちらの法律も、不当な取引行為を排除する点では共通しており、受領拒否・報酬の一方的な減額・正当な理由のない返品・買いたたき・物品購入や役務利用の強制といった行為はいずれの法律でも明確に禁じられています。しかし、対象とされる範囲や規制内容は同じではありません。

      下請法が取引の公正化に焦点を当て、単発の取引も対象とするのに対し、フリーランス新法では1カ月を超える継続的な委託を中心に、働く環境の改善まで踏み込んでいる点が特徴です。たとえば、ハラスメント防止措置や育児・介護への配慮義務を発注者に課すなど、受注側を包括的に保護するような観点を取り入れています。[参考2][参考3]

      4.フリーランス新法における発注者の義務

      フリーランス新法では、発注者に7つの義務が課せられています。概要をまとめましたのでご確認ください。

      番号

      義務の種類

      主な内容

      1

      取引条件の明示

      ・書面もしくはメール・PDFなど電磁的方法で取引条件を提示する
      ・給付内容・報酬額・支払期日・支払方法などを記載する

      2

      報酬支払期日の設定および期間内での支払い

      ・給付受領日から起算して60日以内(なるべく早く)に報酬を支払う
      ・再委託契約では、委託者→フリーランスへの支払いは、元委託者・委託者間の支払期日から起算し30日以内までとする

      3

      7つの禁止行為

      1カ月以上の業務委託を行う場合は以下の禁止行為を行ってはいけない

      1.受領拒否(一方的な納品拒否・発注取り消しなど)
      2.報酬の減額(契約と異なる額に減額)
      3.返品(不当に納品物を返品)
      4.買いたたき(市場より著しく低い報酬額を設定)

      4

      募集情報の的確表示

      ・広告などでフリーランスを募集する際に虚偽の表示・誤解を招く表示をしない
      ・正確かつ最新情報を常に提示する

      5

      育児介護等と業務の両立に対する配慮

      ・6カ月以上の業務委託では、フリーランスが妊娠・出産・育児・介護などと業務を両立できるよう配慮する
      ・6カ月未満の業務委託では努力義務
      ・就業時間・納期の調整やオンライン業務の認可などの対応が代表例

      6

      ハラスメント対策に係る体制整備

      ・ハラスメント防止対策・相談対応のための体制整備などを行う
      ・ハラスメント相談を理由に不当な扱いをしない

      7

      中途解除等の事前予告・理由開示

      ・6カ月以上の業務委託を解除・不更新とする場合、原則30日前までに予告する(例外事由を除く)
      ・フリーランス側から理由開示を求められた場合は速やかに応じる

      [参考3]

      5.発注者が知っておきたいフリーランス新法への対応

      フリーランス新法を遵守して取引を進めるために、発注者が行うべき対応は以下のとおりです。

      5-1.フリーランス新法の対象者か確認

      フリーランス新法が適用されるかを判断するには、対象となる発注者と受託者がどのような形態・事業であるかを正確に把握することが欠かせません。

      発注者は、従業員を雇う個人や法人、2名以上の役員が在籍する法人が対象です。受注側で対象となるフリーランスは「特定受託事業者」と呼ばれ、従業員を雇わず1人のみで仕事をする個人事業主・小規模法人などが当てはまります。

      委託先が対象者となるかどうかの確認は、契約時のみならず更新や支払いのタイミングなど、定期的に書面など記録を残せる方法で行うのが望ましいでしょう。

      5-2.社内体制の整備

      法律に沿って取引を進めるためには、社内への周知徹底は必須です。法の適用範囲や義務内容を担当者が誤って認識していると、意図せず違反してしまう危険があります。特に、発注書のやり取りや報酬の支払いなど、現場判断が求められる業務ほどリスクが高まります。

      そのため、実務に則った研修やマニュアル整備を行い、社員全員が同じ基準で対応できる体制を構築することが重要です。違反時の罰則やトラブル事例について周知し、社内意識を向上させることも求められます。

      5-3.発注書などの見直し

      契約内容の正確な表示が義務付けられているため、発注書や契約書の法的チェックは欠かせません。必要事項が曖昧なまま契約を進めると、認識違いからトラブルが生じるだけでなく、行政指導や違反認定につながる恐れもあります。

      使用中の書式が最新の法要件を満たしているかを確認し、不備があれば早急に修正しましょう。

      5-4.60日以内の支払い管理

      成果物の受領日から60日以内に報酬を支払うことが発注者の義務とされているため、支払期日を確実に守るための社内管理が必須です。遅延や未払いは、フリーランスの収入や事業の存続に直結し、多大なダメージを与えます。

      したがって、不備やミスが生じないよう金額・期日を取引先ごとに整理し、漏れのないフローを構築することが重要です。必要に応じて専門の管理ツールも活用し、期限遵守を徹底できる環境を整備しましょう。

      6.フリーランス新法違反時の勧告や罰則

      フリーランス新法への違反が疑われる場合、フリーランスは公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省へ申し出ることが可能です。

      行政側は必要に応じて報告の要求や立入検査を行い、助言・指導や勧告を通じて是正を促します。勧告に従わないと命令や企業名の公表といった厳しい措置が取られ、さらに命令違反や報告拒否、検査拒否があれば、50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

      なお、フリーランス新法と下請法のいずれにも該当する違反行為があった場合は、原則フリーランス新法が優先され、重ねて勧告されることはありません。

      ただし、双方の法律での違反行為に加え、下請法のみに該当する違反行為も認められた場合には、下請法に基づいて勧告される可能性もあるでしょう。

      ペナルティは、違反行為を行った社員だけでなく、企業に対するものとなる可能性があるため、社内で周知徹底し違反防止に努めるのが大切です。[参考4]

      7.「Legalscape」で下請法とフリーランス新法の違いを理解しよう

      下請法とフリーランス新法は、ともに不当な取引行為を防ぐ法律ですが、対象範囲や保護の目的には大きな違いがあります。フリーランス新法では就業環境の改善まで踏み込んでおり、個人事業主を幅広く守る仕組みがあるのが特徴です。

      企業側は双方の法律に違反しないよう、社内マニュアルや管理体制を見直し、適切な運用をしていくことが必要です。発注書などの細かな法令チェックは、必要に応じて専門ツールの活用も検討することをおすすめします。

      法情報のリサーチをするなら、Legalscape(リーガルスケープ)をご活用ください。独自AIをベースにした機能で、簡単な質問を入れるだけですぐに要約+根拠文献を表示します。リサーチ結果は共有、文書作成への利用が可能です。業務効率化を図るのであれば、確実かつ素早いリサーチで工数削減ができるLegalscapeをご検討ください。

      本記事に記載の情報は一般的情報であり、特定の事案への法的助言ではありません。

      参考1:「下請法」は「取適法」へ|公正取引委員会

      参考2:下請代金支払遅延等防止法第5条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則 | 公正取引委員会

      参考3:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット | 公正取引委員会

      参考4:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方|公正取引委員会

      監修者

      吉田 修平

      株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

      2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

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