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取適法の対象となる役務提供委託とは?具体例や該当しないケースを解説

    公開日:2026年03月30日

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    更新日:2026年03月30日

      特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(取適法)は、不利な立場に置かれやすい中小受託事業者の利益保護や双方の取引が公正なものとなるよう促す目的で制定された法律です。

      対象となる取引には複数の種類があります。特に「役務提供委託」は、具体例が多岐にわたるため、自社の取引が該当するか改めて確認しましょう。

      本記事では、役務提供委託の定義や対象となる取引の具体例、対象外となるケースをわかりやすく解説します。取適法の対象取引を把握し、適正な取引を行うのにお役立てください。

      なお、下請法は2026年1月1日に改正法が施行され「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法、通称:取適法)」へと変わりました。

      改正内容の詳細は以下の記事で解説していますので、併せてお読みください。

      関連記事:2026年1月施行!下請法改正法のポイントをわかりやすく解説


      1.取適法の対象となる役務提供委託とは?

      取適法では、取引が規制対象に該当するかどうかを「取引内容」と「取引当事者の資本金と従業員数の区分」の2つの軸で判断しています。

      取引内容は、以下5つの類型が定められています。なお、特定運送委託は取適法への改正において追加された類型です(取適法第2条第5項)。[参考1]

      • 製造委託

      • 修理委託

      • 情報成果物作成委託

      • 役務提供委託

      • 特定運送委託

      このうち「役務提供委託」は、取適法で以下のように定義されています。

      第2条  「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

      ※ ただし、建設業(建設業法(昭和 24 年法律第 100 号)第2条第2項に規定する建設業をいう。)を営む者が、業として請け負う建設工事(同条第1項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせる場合は本法の対象とはならない。

      引用:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第2条|e-Gov 法令検索

      「業として」とは、単発ではなく反復・継続して行われ、事業活動の一部として位置付けられるかどうかを示すものです。

      「役務」とは、モノではなくサービス全般について他人のために労務または便益を提供することを意味します。運送やビルメンテナンス、情報処理など幅広い分野が含まれます。

      つまり、顧客に提供するサービス自体を外部の事業者へ再委託する行為は、役務提供委託に該当する可能性があるでしょう。[参考2]

      2.役務提供委託の具体例

      役務提供委託に該当するかどうかは「自社が請け負ったサービスについてそのまま、または一部を外部事業者に任せているか」という視点で考えると理解しやすくなります。以下が役務提供委託に判断され得る例です。

      • 運送会社が、受注した配送業務のすべてまたは一部区間を別の運送会社に任せる

      • 貨物運送サービスと併せて請け負った梱包作業を、専門の梱包業者に外注する

      • ビル管理会社が、清掃・警備などの管理業務の一部を専門業者に任せる

      • 広告会社が、広告主から請け負った商品の総合的な販売促進業務の一部である商品の店頭配布をイベント会社に委託

      • 建設工事業者(元請け)が、発注者から請け負う建設工事一式に含まれる警備業務を警備会社に委託する

      • ソフトウェア販売会社が、購入者向けのサポート対応を別会社に委託する

      • 自動車メーカーが、依頼された自動車の整備作業の一部を外部に委託する

      3.役務提供委託の対象外となるケース

      役務提供委託と判断されそうな取引でも、対象外となるケースがあります。本章で詳しく見ていきましょう。

      3-1.建設工事に該当する場合

      建設工事も広い意味ではサービスに含まれますが、取適法上では通常規制されません。

      建設業を営む事業者が、業務として請け負った建設工事を他の建設業者に下請けに出す場合は、取適法ではなく「建設業法」による規制・保護が行われます。建設工事の下請関係は、建設業法が基準です。

      ただし、建設業者であっても、資材の製造や物品の作成など建設業法の対象とならない取引を外部に委託する場合は、取適法が適用される可能性があるため注意しましょう。

      3-2.自社で利用する役務の場合

      役務提供委託として取適法の対象となるのは、事業者が顧客に提供するサービスを外部に委ねる場合に限られます。自社の業務を円滑に進めるために利用する役務は、線引きが難しい部分もあるものの、一般的には該当しません。

      たとえば、貨物運送のみを請け負っている事業者が、自社の作業を効率化するために梱包業務を別会社に依頼した場合、役務提供委託とはなりません。

      製品メーカーが製品の運送を委託する場合、運送中の所有権が自社にあるときは自己のための役務とみなされ、対象外です。ただし、顧客から運送を有償で請け負っている場合は対象に含まれます。

      また、企業が弁護士や公認会計士、産業医と結ぶ契約も同様です。社内の法務・会計・健康管理のために利用する専門サービスであり、第三者(顧客)に提供する役務ではないため、下請法の規制対象から外れます。[参考2]

      【役務提供委託に該当しない例】

      • ホテル業者が、ベッドメイキングをリネンサプライ業者に委託する

      • 工作機械メーカーが、自社工場の清掃作業の一部を清掃業者に委託する

      • カルチャーセンターを営む事業者が、開催する教養講座の講義を個人事業者である講師に委託する

      • プロダクションが、自社で主催するコンサートの歌唱を個人事業者である歌手に委託する

      4.取適法の判断に迷うポイントも「Legalscape」がサポート

      取適法の対象となる「役務提供委託」は、顧客から請け負った業務内容の一部もしくはすべてを外部へ委託することを示します。なお、顧客へ提供しない業務は外部へ委託しても対象となりません。

      どこまでを社内向けの業務とみなすか判断に悩む方もいるでしょう。本記事で紹介した事例や対象外となるケースを参考にしながら、適切に対応を進めましょう。

      自社の取引が取適法の適用対象となるかを判断するには、関連する法令を細かく確認する必要があります。Legalscape(リーガルスケープ)では、必要な法情報を一元検索できるサービスを提供しています。

      膨大な法令・判例・文献もまとめて検索できるため、取適法の適用条件や根拠もすぐに確認可能です。質問を入力するとAIが要点を整理し、関連する法令や判例を示すため、リサーチの手間や内容理解にかかる時間も大幅に短縮できます。

      法情報のリサーチに不安がある方は、ぜひLegalscapeの利用をご検討ください。

      本記事に記載の情報は一般的情報であり、特定の事案への法的助言ではありません。

      参考1:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第2条|e-Gov 法令検索

      参考2:ポイント解説 下請法|公正取引委員会


      監修者

      吉田 修平

      株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

      2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

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